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11月に、大阪府内のある中学校で、中学2年生の生徒たちに向けて「博物館のはなし」をしてきました。

この時期、例年は生徒たちが、職場体験として地域のいろいろな施設やお店に出向いて体験しながら職業を知っていくのですが、新型コロナウイルス感染症のため、昨年は中止したようです。そこで今年は、仕事をしているいろいろな人に中学校に来てもらい、その経験などを聞く方法に変更した、ということでした。
たまたま、その中学校のT先生と知り合う機会があり、「博物館で働いているんですよー」「恐竜の博物館とか、自然史の博物館とかにいました」など話していたらとても興味を持って下さり「それ、話してください!」というオファーを受けました。

さて、中学生は何を聞きたいのだろう、と、ちょうど中2の息子に相談するも「知らんし」で会話が終わり…。困っていたところで、友人たちがアドバイスをくれたり、またT先生が生徒さんたちからの質問を集めてくださったりで、なんとか話の構成を考えることができました。

当日は、私を含めて10名ほどのゲストがおり、消防士や保育士、管理栄養士などを仕事にされている方がいらっしゃいました。生徒たちは、自分の聞きたい職業を選んでいたようで、「博物館のはなし」では20名ほどがいました。うれしいー。聞いてみると、みんな博物館や美術館の仕事に興味があり、自分でもたまに行く、という子たちでした。

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(撮影:T先生、ブログへの掲載許可いただいています)

教室ではこんな感じ。
T先生からは、仕事に時に着ている服装で話してもいいですよ、と言われたのですが、仕事の時に着ている服といっても、いまは制服もないし、博物館っぽい恰好もしてない。収蔵庫に入るときの作業用上着(けっこう好き)はあるけど、日常的に着てないもんなー、ということで「No museum, No life」のTシャツを着ることにしました。
博物館が好きでこの仕事をしているし、博物館のおかげでいろいろな人と出会えて私の人生があるし。
(生徒たちはどう思ってたかわからないけど)

50分の授業時間のうち、前半では私が博物館で働きたいと思ったきっかけや、これまでやってきたこと、後半はあらかじめ生徒からもらっていた質問に答える内容にしました。
生徒たちからの質問がおもしろくて「なぜその仕事をしようと思ったのか」「やりがい、うれしいこと」「つらいこと」あたりはよくある質問かもしれないけど、中には「お給料は?お金で困ったことはありますか?」「美術品をこわしてしまったことはありますか?」「恐竜の化石などの高価なものはどのように入手するのか、そもそも博物館のものは買っているのか?」というのがあって、中学生が博物館のことをどのように見ているのかを知ることができて、とっても得した気分。
話の最後のメッセージは「もし博物館で働きたいと思ったら、中学生のいま、たくさんの博物館や美術館に行ってみてね」にしました。英語を勉強しておくといいよ(私ができないから…)とか、なんでも勉強しておくといいよ、とかも考えたのですが、中学生の今しかできないことは、中学生の今の自分で、来館者として博物館をたくさん体験して、その経験(なにを思ったとか、どう感じたとか)を蓄積しておくことかなと思いました。博物館で働くと、純粋な来館者になるほうが難しくなることもあるし。

そんなこんなで、あっというまに50分が過ぎて授業終了。
後日、T先生からいただいた生徒の感想はこんな感じでした。

・博物館の仕事はいろいろあって、どの仕事もたいへんそうですが、調査研究というのが一番おもしろそうだと思いました。
・博物館は静かなイメージだったので、イベントがあるということに驚きました。
・好きなことを仕事にしていてかっこいいなと思いました。
ほか

感想を読むと、みんなちゃんと聞いてくれていたのだなと関心するとともに、ほんとうに真面目に聞いていてくれて、なんだか恥ずかしくなってしまいました。
後日、話を聞いてくれた生徒たちが作った新聞も送っていただいたのですが、みんなの意見やコメントがまっすぐで、やっぱり照れてしまった。熱く語る自分にツッコミたい気分(いや、ちゃんと話したからいいんですけど)。
博物館の仕事を選ばなくても、博物館のことを知ってくれたらうれしいなという気持ちです。

コロナ禍でも、生徒たちへ仕事を知る機会を作った生成たちのアイデアは素晴らしいなと思うとともに、博物館のはなしなら、いつでも喜んでやります!(恥ずかしいけど)と思ったのでした。

(め)


# by musume2016 | 2021-12-31 00:40 | 活動

お掃除さんのはなし

(め)です。本当に久しぶりの投稿です。
職場が変わって、忙しくなって、そしたらコロナになって、うわぁ…と思っていたらずいぶん時間が経ってしまいました。
その間ずっと、何を書こうかなと考えていたのですが、まとまらず、そしてほとんど他館にも行かず(行けず)で、結局ずるずるとしてしまいました。

で、今日「ああ、これ書きたい!」と思ったことがあったので、PCに向かっています。

先日、ご縁があって知り合いになった中学の先生から「中学校に来て、博物館の仕事の話をしてくれませんか?」と誘われました。
その中学校の2年生は、毎年「職場体験」というカリキュラムがあって、近隣の会社や施設に数日間通って、そこでの仕事を体験しているようです。
いま勤めている博物館でも、職場体験の中学生がコロナ前まで毎年来ていたので、ふむふむなるほど、あれね、という感じ。
しかし、ここ2年ほどはコロナのために中止しているそうで、今年は生徒が職場に行く代わりに、社会人に中学校に来てもらって、仕事の話をしてもらうことにしたそうです。
その「仕事の話をする社会人」として、お誘いがありました。

お誘いをいただいてから、何の話をしようかなーと考える日々で、ひとくちに「博物館の仕事」といっても、本当にいろいろな人がいろいろな関わり方をしていて、そんなことも紹介したいなと思いつつ、過去に勤めていた博物館とそこで働く人たちのことを思い出す中で、共通して良い思い出がある!と思ったのが「お掃除さん」、館内外の清掃をしてくれる人々です。
これまで6つの博物館に関わり、ぱっと顔が思い出せるお掃除さんが4名(3館分)。残りの3館は、お掃除さんに出会わなかったので、記憶にありません。
思い出せる4名(うち1人は、いま勤めている博物館なので、毎日会う)は、共通して
・女性
・おばちゃんといわれるような年齢
・明るい
・元気
・おしゃべり好き
・「なんでも言って!やるから」が口ぐせ
・背が小さい

最後の特徴は、不思議だけど、みんなそうなんです。
余談ですが、息子たちが通ったいくつかの保育園の園長先生はみな、小さくてころんとしたおばちゃんでした。
職業と背格好の関係はあるのだろうか…ある気がする…。

どのお掃除さんも、前向きで明るいんだけど、時々「困っちゃうわよねー、あはは!」と、仕事上の悩み(だいたいマナーが悪いお客さんの、施設の使い方の愚痴)を明るく話してくれて、私も博物館の現状というか、お客さんの様子を知れたりするので、とっても面白かったりします。

そして、なんといっても通常業務に加えて、緊急事態(展示室で来館者が嘔吐した、転んで出血した、なぜかジュースがこぼれているなどなど)の時は、ぴゅー!っと現れて「やっとくから」の一言で、さささーっと場をおさめてくれる、めっちゃ頼もしい方々です。私は非常事態のことで、あわあわしちゃってんのに。

あと、たぶん、私は博物館のいくつかの側面しか知らないけど(どの館でも働くポジションが固定しているので)、お掃除さんたちは、館内のあらるゆ場所をめぐるので、きっといろんなことを知っているんだろうな、という憧れもあります。

博物館を支えるたのもしいメンバーで、そして私個人的にもいつも元気をもらっている(た)みなさん。浮かぶのは、どの人も明るいイメージばかりなんだなー。





# by musume2016 | 2021-09-26 23:34 | 博物館を楽しむヒント

◉大阪市立美術館の展示室

大阪市立美術館が2022年度から大規模な改修工事休館に入るそうです。
改修を前に企画された「美の殿堂の85年 大阪市立美術館の展示室」を見に行きました。作品を展示しない状態で展示室と展示ケースを鑑賞できる(!)特集展示です。

日頃展示に関わる身としてはは、それって単に搬入前や搬出後なのでは…?という気もしていたのですが、実際は大違い。ぴしーーっ!と並んだ展示ケース、もちろん足元にごちゃごちゃ梱包材や台車もない、人もいない、こんな状態で展示室や展示ケースを見ることは意外とないのでは?

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かっこいい!


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展示ケースの鍵も素敵

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壁に残る枠はもともとは窓。自然光の入る展示室だったそうです

美術館の歴史や展示室の変化の分かる解説シートも興味深く読みました。連合国軍に接収を受けた際は展示室がバスケットボール用コートとして使用されたというエピソード、確か京都市美術館もそうだったな。

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これが「Fケース」


何も展示されていないケースを見て、「今は展覧会はされてないんですか?」と会場スタッフに質問して、説明を聞いて笑って引き返すお客さんもいました。こんな展示なかなか見られないのに、もったいない。

この美術館の建物は他にも見どころいっぱいです。

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入口ホールにはシャンデリア


こういう重厚な美術館や博物館はどんどん減っていくんやろな。豊かさを残した改修になりますように。


◉戦時中の動物園

大阪市立美術館の隣には天王寺動物園があります。
今年オープンしたTENNOJI ZOO MUSEUMを見に、久しぶりに入園。天王寺公園もずいぶん雰囲気が変わっていて驚きました(2015年リニューアル)。

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TENNOJI ZOO MUSEUMの剥製展示


ZOO MUSEUM内のホールでは「戦時中の動物園~Our Wars, Not Theirs.~」を8月29日まで開催中。この時期に毎年開催されている企画展で、第二次世界大戦中に天王寺動物園で殺処分された動物の剥製などが展示されています。

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胸がぎゅっとなる展示…なのですが、「どうぶつさんたくさんいるね〜」と楽しそうに剥製を眺めている親子が何組も…レジャーとして来ているお客さんにキャプションを読んでもらう難しさを感じました。

これからも続けてほしい展示です。

レポート:(え)

= = =

大阪市立美術館特集展示
「美の殿堂の85年 大阪市立美術館の展示室」

2021年6月12日(土)~8月15日(日)
大阪市立美術館
一般300円
https://www.osaka-art-museum.jp

= = =

天王寺動物園企画展
「戦時中の動物園~Our Wars, Not Theirs.~」
https://www.tennojizoo.jp/event-info/4033/

2021年7月21日(火)~8月29日(日)
天王寺動物園 TENNOJI ZOO MUSEUM だいしんワクワクホール
要動物園入園料

# by musume2016 | 2021-08-17 22:43 | 鑑賞記録

緊急事態宣言解除を受け、博物館・美術館再開のお知らせが届くようになりました。

6月2日より、大阪市立自然史博物館&ミュージアムショップも再開!

開館&開店を一区切りとして、大阪自然史博友の会ネットショップ
「NO MUSEUM, NO LIFE」グッズにプラスさせていただいていた、
[はくラボ] 支援金(200円)を終了いたします。

支援期間中(4/24~6/1)の販売数は73点!
Tシャツ18着、エコバッグ22点、ステッカー33枚をご購入いただきました。

[はくラボ] へは通常委託手数料に加え【14,600円】の支援となります。

博物館・美術館の休館が続くなか、「NO MUSEUM, NO LIFE!」と思ってくださったかたが
たくさんおられたこと、とても嬉しいです。

ありがとうございました!

引き続き、「NO MUSEUM, NO LIFE」グッズをよろしくお願いいたします!




# by musume2016 | 2020-06-03 17:47 | 応援

はくラボを応援します!

久しぶりの投稿です。


新型コロナウィルス感染症予防のため
博物館に行くことが出来ず、寂しい日々…


MUSUMEグッズを扱っていただいている
大阪市立自然史博物館ミュージアムショップも
博物館休館に伴い、2月29日から休業しています。


ネットショップは営業されていますので、
ぜひチェックしてみてください。
開催延期中の特別展「知るからはじめる外来生物」の
解説書やオリジナルグッズも
ネットショップでは購入できます。
https://omnh-shop.ocnk.net


そして、ささやかではありますが、
取り扱いいただいているMUSUMEグッズ3種の価格を
しばらくの間、通常価格+を200円とし、
プラスした200円を大阪自然史センター [はくラボ] への
応援とさせていただくことにしました。

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「NO MUSEUM, NO LIFE ステッカー」
https://omnh-shop.ocnk.net/product/1764

「NO MUSEUM, NO LIFE エコバッグ」
https://omnh-shop.ocnk.net/product/1765

「NO MUSEUM, NO LIFE Tシャツ」
https://omnh-shop.ocnk.net/product/1585

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はくラボでは、緊急応援グッズの販売もはじめています。
https://omnh-shop.ocnk.net/product-group/5


博物館が開く日を、心待ちにしています。



# by musume2016 | 2020-04-24 00:36 | 応援